EV充電器導入[費用・工事・運用]法人向け完全ガイド|2024年最新版

EV充電器
2024.09.18

法人向けコラム EV充電器のポイント【費用・工事・運用】 4ステップで設置前から設置後まで徹底解説

インデックス

 

EVを恒常的に運用する際、車両と同等と言ってよいほどに重要な存在となるのが充電器です。公共の充電施設まで行く手間が省ける、充電代を抑えられるなど、得られるメリットは少なくありません。

充電器導入はハードルが高いと思われがちですが、適切な手順に則って行えば設置から運用までスムーズに進みます。

当記事では充電器の導入の流れを解説しています。皆様のスムーズなEV導入の一助となれば幸いです。

車両も含めたEVの導入については以下の記事も参考にしてください。

【2024年向け最新情報】日本でのEV導入・充電器導入までの完全ガイド

STEP1.EV充電器の種類を選ぶ

選び方を4つの段階に分けて解説します。

  • 【選び方1】「普通」と「急速」の特徴を知る
  • 【選び方2】運用方法で「普通」か「急速」を選ぶ
  • 【選び方3】付随機能で選ぶ
  • 【選び方4】設置台数を決める

【選び方1】「普通」と「急速」の特徴を知る

普通充電器

3kW〜6kW程の出力で、7~10時間をかけて充電します。

【本体費用:数十万円+工事費用:数十万円】で設置に必要な費用の総額は40万円~150万円です。

政府が運用する「充電インフラ補助金」を利用すると本体費用:最大35万円(購入費の50%まで)・工事費用:最大135万円(購入費の100%)】の補助を受けられます。また、地方自治体が運用する補助金との併用も可能です。

メリット
  • 初期費用と電気代が比較的安価
  • 狭いスペースでも設置できる
デメリット
  • 充電に時間がかかる

急速充電器

50kW~150kW程の出力で、充電完了までにかかる時間は30分~1時間程です。

【本体費用:数百万円+工事費用:数百万円】で設置に必要な費用の総額は500万円~1500万円です。

政府が運用する「充電インフラ補助金」を利用すると【本体費用:最大600万円(購入費の50%まで)・工事費用:〈特別な仕様に基づく場合〉最大3,700万円(購入費の100%)〈特別な仕様に基づかない場合〉最大285万円(購入費の100%)】の補助を受けられます。また、地方自治体が運用する補助金との併用も可能です。

メリット
  • 充電時間が短い
デメリット
  • 初期費用、電気代ともに高額
  • 設置には広いスペースが必要
  • バッテリーへの負荷が大きい


※補助金の審査には細かな区分や条件が存在し、申請すれば必ず上記の金額が受領できるわけではありません。補助金についての詳細は、REXEVまでお問合せください。

【選び方2】運用方法で「普通」か「急速」を選ぶ

普通充電器と急速充電器には[費用]・[時間]という明確な一長一短があり、運用方法によって適したタイプを選択できます。

【基礎充電】事業所・自宅等 【経路充電】高速SA・PA等 【目的地】商業施設、宿泊施設等

基礎充電[事業所・自宅等]

業務や生活の拠点となる場所で充電を行います。法人でEVを導入する場合は、多くがこのスタイルになるでしょう。

車両を使用しない夜間など、まとまった充電時間の確保が容易なため、普通充電器で安定した運用が可能です。

[普通充電器がおすすめ]

経路充電[高速SA・PA等]

高速道路のサービスエリア・パーキングエリアなどで充電を行います。バッテリーの残量が心許なくなり、緊急的に充電を行うケースが大半です。移動中のため、充電のための長時間の停車は好ましくありません。

[急速充電器がおすすめ]

目的地充電[商業施設・宿泊施設等]

商業施設や宿泊施設など、目的地に到着したタイミングで充電を行います。平均滞在時間が短い施設では急速充電器が求められることもありますが、普通充電器が一般的です。

[普通充電器がおすすめ]

【選び方3】付随機能で選ぶ

普通か急速かだけが、充電器の選び方ではありません。主の機能となる充電以外にも、優れた機能を持つ製品は多く、選択における大きな指標となります。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)

EVの効率的な運用には、エネルギーの管理体制[エネルギーマネジメント]が欠かせません。

エネルギーマネジメントの代表的な手法としては、電力の使用量が多い時間帯に充電を行わないようにする[ピークカット]、電力使用量が少ない時間帯に充電を行う[ピークシフト]が挙げられます。どちらも、無駄のない充電で電気代を抑える手法です。

ピークカット・ピークシフトグラフ

比較的低コストな普通充電器でも、月々の充電代は大きな負担となり得ます。EMSのついた充電器は安定したEV運用の大きな助けとなるでしょう。

車両管理機能

充電器の中には車両管理機能と連携している製品もあり、アプリでの配車予約や利用状況のチェックなどの機能を備えています。車両の利用状況に合わせて発電量をコントロールする製品もあり、電力の適正利用推進に大変効果的です。

また、効率的な運用が可能になるだけでなく、以降の運用の指針となる貴重なデータも取得できます。

太陽光余剰優先充電機能

太陽光発電設備などが設置されている施設において、太陽光発電による余剰電力が発生した場合に優先的に、充電用電力として使用する機能です。需要電力と太陽光発電の電力を予測するので、再生可能エネルギーの計画的な利用にも大きく寄与します。

課金システム

商業施設や宿泊施設などで、来場者に充電器を開放する場合は必須ともいえる機能です。基本的に無人・キャッシュレスで低コストかつスピーディな運用が可能です。また、利用データも取得できるため、事業計画の指針のひとつとしても活用できます。

多数の機能を備えたREXEVのスマート充電器

スマート充電器

REXEVが取り扱う「スマート充電器」は前述のものを含む、多数の優れた機能を有し、EVの効率的な運用や脱炭素化の推進に大変効果的です。

さまざまなアプローチによるスマート充電は、他社の充電器と比べて約30%もの電気代削減が可能という試算が出ています。ラインナップも豊富で、さまざまなニーズに対応可能です。

REXEVのスマート充電器

【選び方4】設置台数を決める

基本的に車両1台につき充電器も1台必要と考えてください。特に普通充電器は、充電完了まで時間を要するため、複数台での効率的な共有が困難です。充電器が少ないと、充電が完了する前に次の車両に差し替えなければならないといった問題が発生してしまいます。

EV導入の際は、車両の数だけでなく、それに見合った充電器の数も考慮に入れて予算を編成する必要があります。

複数台の充電器を設置する場合、契約電力にも注意しなければなりません。使用電力が50kWを超える場合、電力会社との「高圧契約」が必要です。

前述の通り、普通充電器の出力が3kW〜6kWなので、組織的な運用を行う際は留意しておいてください。また、急速充電器の出力は50kW~150kWなので高圧契約は必須です。

STEP2.EV充電器を設置する

設置工事

実際の工事の流れの4つ段階と、工事における注意点を解説いたします。

  • 【工事の流れ1】調査・分析
  • 【工事の流れ2】設計・見積もり
  • 【工事の流れ3】補助金の申請
  • 【工事の流れ4】調達・施工
  • 工事の注意点

 

充電器の工事については以下の記事も参考にしてください。

【2023年最新情報】法人企業に必要なEV充電器の工事って? 社用車EV化で知っておきたい、充電器工事のあれこれ

【工事の流れ1】調査・分析

施行業者が充電器の設置場所や駐車場の形態など、現場の状況を調査します。工事に必要な物理的な調査の他、電力設備の容量に問題はないかなどの分析も行われ、工事と設置後の運用に必要な情報を導き出します。

なお、調査から施行まで一貫性、透明性を保つために、同じ業者に依頼することをお勧めいたします。業者選びのポイントについては後述の「信頼できる業者を選ぶ」の項目を参考にしてください。

【工事の流れ2】設計・見積もり

調査・分析で得た情報を元に、設置場所や機種、電力の供給源といった工事計画を策定します。見積は現場の状況によって変動します。

【工事の流れ3】補助金の申請

補助金を受領するには工事開始前に申請書を提出し、交付決定通知を受ける必要があります。補助金についての詳細は以下の記事を参考にしてください。

[法人向け]EV充電器補助金 活用ガイド|2024年最新版

【工事の流れ4】調達・施工

充電器を用意し、設置工事を行います。お申込みから工事完了までの平均期間は2週間ほどですが、機器の在庫状況などによっては遅れが発生する場合もあります。

工事の注意点

現場の状況によって見積が異なる

充電器を設置する現場の状況によって、設置工事の金額は大きく変動します。特に影響が大きいのが充電器と電力設備の間の距離で、長さに応じて金額が上乗せされます。充電器が電力設備から離れていると、工事費が高くなる可能性があることは留意しておいてください。

電力の引き込みが必要な場合がある

設置予定場所が電力設備から離れすぎている場合、近くの電柱から新たに電力を引き込むなど、別途の費用が発生するケースもあります。電線の埋設工事などで数十万円もの費用が発生することもあるので、充電器は、できる限り電力設備の近くへの設置を検討してください。

設置場所の決定は慎重に行う

設置完了後の充電器の移動は容易ではありません。設置場所の決定は慎重に行うようにしてください。

工事は基本的に専門知識を持った業者が行いますが、人や車両の往来の流れなど、施設ごとの特徴までは把握しきれません。スムーズな車両の運行や安全性の確保のためには、ご契約者様の意見も重要な意味を持ちます。

信頼できる業者を選ぶ

設置工事は高額な費用が発生し、また設置後の変更は困難です。そのため、工事を担当する業者選びは極めて重要です。

以下の点に注意してください。

電気工事士の資格があるか

EV充電器の設置工事には、第二種電気工事士以上の資格が必要です。あえて言及する必要のない当たり前のことのようにも思われますが、受注者が資格を持っているが実際の担当者が無資格という悪質業者も存在します。工事の際は、資格の有無について確認するようにしてください。

見積に納得感があるか

工事費用は、業者を選ぶ上で最も大切な要素であるといっても過言ではありません。しかし、現場の状況などによって、費用が高額にならざるを得ないケースも存在します。見積の金額に対して、適切な説明があるかどうかにも着目してください。多くの業者が見積は無料で行っているので、複数社に依頼して比較を行うのもよいでしょう。

信頼できる実績があるか

見積の金額だけで判断し依頼先を選んでしまうと、質の低い工事を行う業者にあたってしまう恐れがあります。実績に信頼が持てる業者を選ぶようにしてください。ホームページに掲載している施工実績や口コミが参考になります。

STEP3.充電器設置後の周知活動

充電器看板

充電器を設置したのに使われない、バッテリー切れや運用のトラブルが多い、といったお悩みをたびたび耳にします。そうした事態を防ぐためには積極的な周知活動が効果的です。幅広い情報共有が、EVの効率的な運用や、長期的なサイクルでのCO2削減につながります。

重要なポイントは以下の2点です。

  • 組織内への使い方の周知
  • メリットの啓もう

組織内への使い方の周知

車種や使用状況によっても異なりますが、40kWhのバッテリーを持つ車両の場合、満充電での走行距離は240km~280kmほどです。一般的なユーザーの充電回数は週1~3回ほどで、ガソリン車の給油よりも遥かに高頻度であると言えるでしょう。使いたいときにバッテリーがないという事態を防ぐために、ガソリン車との走行距離の違いの説明、充電器の差し忘れなどの注意喚起が必要です。

また、車両管理システム、配車予約システムなどを利用している場合は、操作方法も周知徹底してください。煩雑な使用が運航体制の機能不全や利用者同士のトラブルにつながります。正しい手順を踏まないと車両が動かないシステムも多いため、利用方法の全体共有は組織的なEV運用における必須事項です。

メリットの啓もう

充電器だけでなく、車両にも関連する内容ですが、EVの積極利用を推進するためにメリットを発信してください。

排気ガスが出ないという最大の特長はもちろん、騒音や振動が少ない、エネルギーコストが安い、加速力が強いといったメリットも、利用者の心に強く訴えかけます。これらが広く知られることによって、EVを導入したのにガソリン車ばかりが使われるといったことが少なくなるでしょう。

STEP4.充電器の保守と運用計画

EV充電器

EVの安定運用において、設置後の適切な保守と長期的な運用計画は極めて重要な意味を持ちます。これらを正しく行うことによって、充電器はその効果を最大限に発揮できるようになるでしょう。

以下の2点について解説します。

  • 保守
  • データを基にした運用計画

保守

EV充電器の耐用年数は一般的に7~8年とされていますが、粗雑に扱うとそれよりも短い年数で故障してしまう恐れがあります。本来の耐用年数をまっとうするためには適切なメンテナンスが必要不可欠です。

充電器に必要なメンテナンス

  • 柔らかい布やスポンジと中性洗剤を用いた清掃
  • 傷や接続の緩みなどの有無を確認する検査
  • 雨や雪、過度の日光からの保護
  • 充電器の通気口や周囲の空間を密閉しない適度な換気

もし異常を感じたら

充電器のライトのちらつき、異音・異臭、パフォーマンスの低下などの異常を感じた場合、専門家に相談してください。自力での対処は問題の悪化につながるだけでなく、安全上のリスクを招く恐れもあります。

データを基にした運用計画

EMSや車両管理機能を搭載した充電器が算出する利用状況や電気代、CO2の削減量のデータは長期的な運用計画の大きな指針となります。

データから立案可能な運用計画

  • 車両の稼働率に基づいた適切なEV保有台数の把握
  • 使用電力に基づいた予算や契約電力に関する展望
  • CO2削減量に基づいた脱炭素経営の指針
  • 上記内容に基づいた保有車両全体におけるEVの割合増加計画

 

EV充電器から得られるデータは、組織全体にさまざまな恩恵をもたらすでしょう。

REXEVでは、導入、運用、分析、長期的計画の提案までトータルでサポートを行っております。組織的なEV運用をお考えでしたら、ぜひご活用ください。

REXEVのサービス

まとめ

EV充電器の導入について、以下のポイントに沿って解説いたしました。

  • STEP1.充電器の選択
  • STEP2.設置工事
  • STEP3.設置後の周知活動
  • STEP4.保守運用

STEP1.充電器の選択 STEP2.設置工事 STEP3.設置後の周知活動 STEP4.保守運用

それぞれの段階において専門的な知見や複雑な申請などが必要で、独力では迷ってしまうことも多いかもしれません。

REXEVでは車両と共に、充電器の導入においてもあらゆる段階でのサポートを行っております。もちろん、一気通貫でのサポートも可能です。

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