[法人向け]EV充電器補助金活用ガイド|2024年最新版

2024.08.22

カーボンニュートラル実現に向け、EVへの注目度は日に日に高まっています。しかし、資金がネックとなり導入に踏み切れないといった声は少なくありません。その問題を解決し、EVをより広く浸透させるために、国や自治体は補助金制度を設けています。

この記事ではEV関連の補助金の中から、充電設備に関するものを解説しています。EV導入を検討している企業、団体の方々の参考になれば幸いです。

車両に適用される補助金については、以下の記事を参考にしてください。
【事業者必見】EV補助金を有効活用して脱炭素を促進

インデックス

補助金でEV充電設備設置の負担を軽減

組織におけるEVの効率的な運用に必要なものは、車両だけではありません。充電設備も極めて重要です。しかし設置にかかるコストは小さくはなく、車両購入費用と合わせると大変な負担となってしまうでしょう。

広く使われている普通充電器の金額は1台で20万~30万円ほどです。基本的に充電器1基で1度に充電できる車両は1台なので、EVを組織的に運用するためには、複数台の充電器が必要になるでしょう。

設置工事も1台で数十万~百万円超の費用が発生します。複数台設置の場合、1台にかかる費用は割安になりますが、それでも合計金額は大変なものです。

しかし、政府による「充電インフラ補助金」と各地方自治体の補助金を組み合わせることで、充電器設置にかかる費用を大幅に削減できます。

機器の購入費用、工事費用どちらも半額以下に抑えることが可能です。当記事を参考にし、ぜひ補助金を有効活用してください。

2024年(令和6年)の充電インフラ補助金概要

充電インフラ補助金、正式名称「クリーンエネルギー自動車の普及促進にむけた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」は、政府主導によるEV充電器に関する補助金です。以下の3点を基本的な考えとしています。

  • ユーザーの利便性向上
  • 充電事業の自立化・高度化
  • 社会全体の負担軽減

これらを実現し、持続可能な充電インフラ社会を構築するために、充電設備の購入費および設置工事費に対し、補助金が交付されます。

充電インフラ補助金の対象者・対象施設

国の代理機関として補助金の給付事業を担当する一般社団法人次世代自動車振興センターは、補助金の対象者と対象施設を以下のように定めています。

対象者

  • 地方公共団体
  • 法人(マンション管理組合法人を含む)
  • 法人格をもたないマンション管理組合
  • 個人(共同住宅のオーナー、共同住宅の居住者等)

対象施設の例

  • 商業施設
  • 宿泊施設
  • 公共施設
  • ガソリンスタンド
  • 駐車場
  • 高速道路のSA・PA
  • 道の駅
  • 共同住宅
  • 事務所・工場等
  • 空白地域

原則として個人宅以外のすべての施設が対象です。

充電インフラ補助金の金額

給付金の金額は充電器の種類によって異なります。

普通充電器

充電タイプ機器費用工事費用
目的地充電
(商業施設、時間貸し駐車場等)
最大35万円
(購入費の50%まで)
最大135万円
(工事費の100%)
基礎充電
(マンション、月極駐車場等)
経路充電
(高速道路SA・PA、給油所等)

表の内容以外にも細かな区分が存在します。充電機器の導入を検討されている施設の正確な補助金額を把握したい方はREXEVまでお問合せください。

急速充電器

充電タイプ機器費用工事費用
目的地充電
(商業施設、時間貸し駐車場等)
最大600万円
(購入費の50%まで)
最大285万円
(工事費の100%)
基礎充電
(マンション、月極駐車場等)
最大300万円
(購入費の50%まで)
最大140万円
(工事費の100%)
経路充電
(高速道路SA・PA、給油所等)
最大600万円
(購入費の50%まで)
・特別な仕様に基づく場合
最大3,700万円
(工事費の100%)
・特別な仕様に基づかない場合
最大280万円
(工事費の100%)

急速充電器は設置にかかる費用が膨大なため、補助金の額も大きく設定されています。特に高速道路への設置で、特別な仕様に基づく工事が必要な場合は、補助金額が大幅に引き上げられます。

2024年(令和6年)の充電インフラ補助金概要のまとめ

  • 補助金の対象者は地方公共団体、法人(マンション管理組合法人を含む)、法人格をもたないマンション管理組合、個人(共同住宅のオーナー、共同住宅の居住者等)
  • 補助金の対象施設は原則として個人宅以外のすべて
  • 一般的な普通充電器の補助金は機器の購入費用が35万円・工事費用が285万円

参照:一般社団法人次世代自動車振興センター

充電インフラ補助金申請の重要ポイント

充電インフラ補助金申請における重要なポイントを解説します。

2024年の受付は9月まで

2024年(令和6年度)の充電インフラ補助金のスケジュールは以下の通りです。

種類受付交付決定実績報告締切

普通

8月~9月中旬11月~12月中旬2025年1月末
急速8月11月1月末

締切が早まる可能性もあるため、余裕を持って申し込んでください。

普通充電と急速充電の選択

普通充電器は、一般的に充電完了まで8時間から12時間程度を要します。一方、急速充電器は30分から1時間程度です。

性能は急速充電器が圧倒的に上回っていますが、その分だけ費用が高額で普通充電器の10倍以上になることも珍しくありません。また急速充電器は高出力からバッテリーを守るため80~90%程度までしか充電できないというデメリットもあります。

選ばれることが多いのは普通充電器ですが、急速充電器のスピードが活きる状況も決して少なくはありません。充電のタイプに応じ、適切な充電器を選択してください。

基礎充電

決められた拠点を持ち、夜間等、車両を使用しないまとまった時間帯に充電可能。
【普通充電器がおすすめ】

目的地充電

商業施設等で、到着までに消費した電力をチャージしたいというケースが多い。宿泊施設、レジャー施設等は長時間滞在することが多いので、充電時間にも余裕がある。
【普通充電器がおすすめ】

経路充電

高速道路SA・PA、給油所等、目的地に到着するまでの電力に懸念があり、すぐに充電したいというケースが多い。
【急速充電器がおすすめ】

申請の流れ

充電インフラ補助金の申請は以下のような手順で行います。

  1. 交付申請
    1-1.オンラインシステムにて申請書を作成
    1-2. 申請書の送信
    1-3. 審査
    1-4. 交付決定通知書受領
  2. 設置工事
    2-1. 設置工事開始・充電設備の発注
    2-2. 必要に応じて計画変更申告
    2-3. 設置工事完了・工事費用支払い
  3. 実績報告
    3-1. オンラインシステムにて報告書を作成
    3-2. 報告書の送信
    3-3. 審査
    3-4. 補助金受領

上記の流れを2024年の普通充電器のスケジュールに当てはめると、以下のようになります。

  • 交付申請:8月~9月中旬
  • 設置工事:11月~12月中旬の交付決定以降
  • 実績報告:2025年1月末まで

2024年第1期(5月申請受付開始)までは設置工事から実績報告まで3ヶ月以上の猶予がありましたが、2024年第2期(8月申請受付開始)からは1ヶ月半ほどに短縮されています。設置工事も早めに実施するようにしてください。

申請時の必要書類

インフラ充電補助金の申請には申請書の他、本人確認書類、工事の内容を示す書類等、さまざまなものが必要です。準備に時間がかかるものもあるので、不備がないよう気を付けてください。

補助金交付申請書

オンラインで書類を作成します。

本人確認書類

申請者の区分によって必要な書類が異なります。

地方公共団体の場合

以下の2点

  1. 地方公共団体の名称、長の氏名、住所が確認できるホームページ、広報誌等
  2. 法人番号指定通知書、または経済産業省や国税庁からの法人番号(13桁)が確認できるPDF等
法人の場合

以下の2点、及びオンラインで役員名簿を入力

  1. 履歴事項全部証明書、または現在事項全部証明書
  2. 法人番号指定通知書、または経済産業省や国税庁からの法人番号(13桁)が確認できるPDF等
法人格をもたないマンション管理組合の場合

以下の2点

  1. 書類作成日、マンション管理組合名、代表者名等が記載されている総会の議事録等
  2. 代表者の本人確認書類(下記「個人の場合」参照)
個人の場合

以下の内、いずれか1点

  • 運転免許証
  • 印鑑登録証明書
  • 住民票
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 住民基本台帳

充電器購入のための見積書等

充電器購入のための見積書、注文書、契約書のいずれか1点のコピーを提出。手形による支払いが認められていないため、支払条件(現金、振込等)が明記されている必要があります。

設置工事に関する提出書類

以下の8点の提出が必須です。

  1. センター指定様式の見積書
  2. 設置工事業者提出の見積書
  3. 要部写真
  4. 平面図
  5. 設置場所見取図
  6. 電気系統図
  7. 分電盤の仕様書
  8. 配線ルート図

また、以下の状況では追加の書類も必要です。

  • 補助対象となる高圧受変電設備の工事を行う場合
    高圧受変電設備の仕様書
  • 「同一敷地内複数契約を可能とする特別措置」にて電力契約を結び急速充電設備を設置する場合
    電力供給対応にかかる請求書

状況次第で必要な書類

補助金交付申請書、本人確認書類、充電器購入のための見積書、設置工事に関する提出書類以外に、個々の状況によっては下記の書類も必要になります。

  • 共同申請の場合:共同申請書・本人確認資料等
  • 特別な仕様に基づく工事の場合:「特別な仕様に基づく工事」申請事由書
  • 資本関係がある会社から調達を受ける場合:利益等排除に関わる資本関係の確認書類

申請の注意点

インフラ充電補助金を申請する際は、以下のような点に気を付けてください。

書類の不備を避ける

上記の通り、補助金の申請には複数の書類が必要で、ひとつでも欠けていると受理されません。申請期限が迫っている状況で準備を始めると、書類が揃う前に締切を迎えてしまう恐れもあるので、必要な書類を正確に把握し、早めに準備を始めるようにしてください。

書類作成には工事業者の協力が必要

申請の際に必要な「設置工事に関する提出書類」の中には、複数の図面が含まれています。これらを作成するのは申請者ではなく、工事業者です。また見積書も工事業者に作成してもらう必要があり、審査の際は図面と見積額の整合性をチェックされます。

工事着手前から工事業者の多大な助力が必要になるため、確かな協力体制を築かなければなりません。業者としっかりコミュニケーションを取り、認識の齟齬等が起こらないようにしてください。図面作成を依頼することで、見積額が変わる場合もあります。依頼内容、金額の内訳等にも気を配ってください。

工事と実績報告のスケジュールが厳格

設置工事は、補助金の交付が決定してから行うことが義務付けられています。さらに工事後、実績報告としてさまざまな書類の提出が必要です。提出期限を過ぎてしまうと、工事を行ったにも関わらず、補助金が交付されません。

前述の通り、2024年の第2期から工事~実績報告の期間が短くなりました。機器によっては納品に時間がかかる場合があるので、実績報告完了までのスケジュールを厳密に計算した上で工事計画を策定してください。

補助金の交付は工事完了後

充電機器設置の費用の負担を軽減する充電インフラ補助金ですが、実際に交付が行われるのは工事が終わり、実績報告が受理された後です。

機器や工事にかかる費用を一度は全額ご自身で負担することになり、補助金が届くのは工事の数か月後になります。そのことを念頭において資金繰りの計画を立てるようにしてください。

審査が通らない場合もある

補助金交付の可否は厳正な審査によって判断され、充電器設置の意義が認めらず、補助金が交付されない可能性があります。

審査において、まず重要なポイントとなるのが利便性です。例えば、普通充電器の場合、3kWでは車種によっては一晩でフル充電にはならない可能性があり、利便性が高いとは言えません。利便性を高めるためには、できる限り出力の高い充電器を選ぶとよいでしょう。また1kWあたりの経費も重視されるため、複数台を設置し、合計の出力を上げることでも審査に通りやすくなります。

工事の費用が安価であることも重要なポイントです。工事費用を抑えるためには以下のような工夫が有効です。

  • 機器と電源の距離を近くする
  • 掘削や再舗装が不要な露出配管にする

工事業者と相談し、できる限り費用のかからない工事計画を見出してください。

充電インフラ補助金申請の重要ポイントのまとめ

  • 2024年の受付は9月まで(急速充電器は8月)
  • 一般的に採用されることが多いのは普通充電器だが、高速道路SA・PAや給油所など早く充電したい場所では急速順電気がおすすめ
  • 申請後に設置工事を行い、実績報告が受理されると補助金が交付される
  • 申請にはさまざまな書類が必要で、工事業者の協力が必要なものもある
  • 書類の不備、申請や実績報告の遅れがあると補助金が交付されない

参照:一般社団法人次世代自動車振興センター

地方自治体の補助金との併用も可能

充電機器設置のための補助金制度は、政府による充電インフラ補助金だけではありません。地方自治体が主導する補助金制度も多数存在し、充電インフラ補助金との併用も可能です。代表的なものを紹介いたします。

東京都

名称充電設備普及促進事業(事業用)
2024年
申請期間
2024年4月26日~2025年3月31日
対象商業施設
事務所
工場等
機器費用普通充電:半額(機種ごとの上限あり)
急速充電:全額(機種ごとの上限あり)
工事費用普通充電:【1基目】上限135万円・【2基目】上限68万円/基
急速充電:上限 309万円/基(出力によって上限が変動)

神奈川県

名称神奈川県EV普通充電設備整備費補助金
2024年
申請期間
2024年4月26日~2024年12月27日
対象県内の共同住宅又は運送事業等の用に供する事業所に整備するEV普通充電設備の所有者となる者
機器費用普通充電:15万円

栃木県

名称EV・PHV充電インフラ整備促進事業
2024年
申請期間
2023年~2025年
対象「空白地域」又は「道の駅」に急速充電器を整備する法人、個人又は市町
機器・工事費用法人又は個人3分の2以内・市町2分の1以内【上限200万円】

愛知県

名称充電インフラ導入促進費補助金
2024年
申請期間

2024年4月23日~2025年1月31日
対象集合住宅
工場・事務所
商業施設、宿泊施設等
機器費用普通充電:1基あたり17万5千円
急速充電:125万円(1施設当たり1基)

滋賀県

名称滋賀県次世代自動車普及促進事業補助金
2024年
申請期間
2024年4月26日~2025年2月14日
対象滋賀県内に事業所を有する法人または個人事業者等
機器費用普通充電:10万円(設備購入費の1/2以内)
急速充電:10万円(設備購入費の1/2以内)

都道府県だけでなく市区町村でも、独自の補助金制度を設けている自治体は多数存在します。拠点とされている自治体のホームページ等をぜひチェックしてください。

参照:

まとめ

補助金制度を活用することで、非常にコストのかかる充電設備設置の負担を軽減できます。しかし、申請から受領までのプロセスは複雑で、必要な書類も多岐に渡っています。多くの方にとって補助金の申請は慣れない作業で、疑問や不安は尽きないことでしょう。

充電機器の補助金申請でお悩みでしたら、ぜひREXEVにご相談ください。申請、書類の準備、工事業者の手配等、徹底してサポートいたします。国の補助金はもちろん、各地方自治体の補助金についても、豊富な知見を有しております。

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