【2024年 海外EV事情】ヨーロッパ最大級の充電インフラ・Eモビリティ国際展示会「Power2Drive」〜現地視察で見えたEV普及率15%のヨーロッパと日本の充電器市場との違い〜

EV充電器
2024.07.19

© Solar Promotion

2024年6月19日から21日までドイツ・ミュンヘンで開催されたヨーロッパ最大級の充電インフラとEモビリティの国際展示会「Power2Drive」に、当社CPOの盛次が現地視察しました。

ヨーロッパはEV導入率が約15%と日本の2%に比べてEV普及が進んでいます。日本でもエネルギー・自動車産業間でEV普及のための最適なビジネスモデルを模索する動きが強まるのを受けて、ヨーロッパにおけるEV市場の動向やEV充電器の現在地はどのようなものか、普及のポイントは何か、その手がかりを探りました。「Power2Drive」で見えた海外のEV事情、EV・充電器を拡充していくために必要なこと、またそこから導かれる日本の今後の展望は何か、についてレポートします。

■インデックス

  1. Power2Driveとは
  2. 出展企業650社 中国企業も3割
  3. 日本の展示会との違い
  4. 展示会から見えたヨーロッパ充電器市場の動向
  5. 出展企業紹介
  6. 日本における充電器の展望
  7. これからのスマートグリッド時代にも対応できるREXEVのスマート充電器
  8. おまけ

 

© Solar Promotion

1. Power2Driveとは
ヨーロッパ最大級の充電インフラとEモビリティの国際展示会です。エネルギー総合展示会「The smarter E Europe 2024」を構成する4つの展示会の1つとして開催されます。


◆「The smarter E Europe」とは
The smarter E Europe は、ヨーロッパ最大級のエネルギー国際展示会です。エネルギー業界の最新技術や最新動向、モビリティと統合した新しいビジネスモデルのアイデアを共有し、再生可能エネルギーを活用した業界横断的・包括的なエネルギー供給網の構築を目標にしています。

2024年度の来場者数は110,000人超まで拡大し、世界最大級のテックイベントCESに匹敵するほどの規模を誇り、ヨーロッパにおける国際展示会の一大イベントです。

「Intersolar Europe(太陽光発電)」、「ees Europe(蓄電池およびエネルギー貯蔵システム)」、「Power2Drive Europe」、「EM-Power Europe(エネルギーマネジメント・エネルギーソリューション) 」、の4つの展示会で構成されています。

The smarter E Europe 公式HP
https://www.thesmartere.de/home
The smarter E Europe プレスリリース(2024年6月19日)
https://www.thesmartere.de/press-release/opening-the-smarter-e-europe-2024?ref=m5f53a5a9b8701618e8422b74-s602e65a9202e426f4d432282-t1720743461-cd871c208

2. 出展企業は650社 中国企業も3割

2024年度の来場者数はThe smarter E Europe 総計で110,000人超ということもあり、どのブースも人が集まり全体的に活気に溢れていました。展示会全体で55か国から3,048社が出展し、Power2Driveには650社、そのうち充電器メーカーは200社超が出展しました。

欧州や米国、中国など世界各国から様々な企業が集い、SIEMENS、Schneider Electric、Huaweiなどの大手企業をはじめ、Wallboxやchargepoint、Hubjectなどが参加しました。Power2Drive全体の3割ほどは中国企業が占め、充電器市場でも中国企業がヨーロッパ市場をリードしようとする意欲の高さが伺えます。これに対して、日本からの出展は三菱自動車や日鉄スチールなど数社にとどまっており、今後、日本の参加企業が増えることを期待したいところです。


3. 日本の展示会との違い

まず日本の展示会と異なるのはその規模。同様の日本の展示会スマートグリッドエキスポは来場者数69,261名、出展社数1484社(同時開催展を含む)ですが、The smarter E Europeは来場者数、出展社数が2〜3倍もあります。

また、充電器メーカーも日本では30社程度なのに対して、約7倍の約200社以上が出展しており、その市場の大きさが伺えます。

驚いたのは展示会内の各ブースの広さ。各社広いスペースをとり、どのブースもレイアウトやインテリア、サインボードなどにデザイン性が高いものを採用して、特にグリーンやウッド調などを使った環境にやさしいイメージの雰囲気を作っているブースが多かったです。また商談テーブル&cafe barを設置し、気軽に話せてコミュニケーションが高まる設計にしている企業もあり、[製品・サービスの紹介を行いファーストコンタクトとしての位置づけとなることが多い日本の展示会]に対して[展示期間内での商談や関係づくりを重視しエンゲージメントを高める志向]を感じました。

展示会場内には、軽食を楽しめるビストロ&カフェも設置されていました。


4. 展示会から見えたヨーロッパ充電器市場の動向

    • 充電器のほとんどはOCPPプロトコルに対応
    • 専用デバイスは必要なく充電器だけでエネルギーマネジメントが可能

    • 約9割以上は充電制御が搭載

    • スマート充電器のニーズは法人、一般家庭ともに日本に比べてかなり高い

    • AC充電器は主に11kW~22kW

    • 多くの企業でV2Gサービスを展開

    • DC充電器の多くはプラグ&チャージが既に実装。AC充電器での検討も進んでいる

    • 認証がヨーロッパでは34ヶ月ほどで取得(日本のJARI認証は1年以上)

     

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    1. エネルギーマネジメント機能搭載の充電器がほとんど
    EVを充電する際には電力負荷が高い時間での充電を避けたり、電気代が安い時間に充電をシフトしたりすることが重要です。
    日本でも充電制御(エネルギーマネジメント)ができる充電器はありますが、まだまだ主流とは言えません。また、エネルギーマネジメントを実行するためには充電器の他に、そのための専用デバイスの設置が必要なケースも多いです。しかし展示会で見た充電器のほとんどはOCPPと呼ばれるプロトコルに対応しており、充電器の他に専用のデバイスを必要とせず、充電器だけでエネルギーマネジメントができます
    展示会内で見た印象では、充電制御が搭載されている充電器は約9割以上でした。また、専用デバイスを設置することでエネルギーマネージメントができる充電器も1割ほどありました。
    スマート充電器のニーズ法人、一般家庭ともに日本に比べてかなり高いと考えられ、エネルギーマネジメント機能の中でも充電負荷を分散する機能(ピーク制御)はどの企業も必須というのが現状でした。


  • 2. AC充電器でも11kWから
    日本では、普通充電器(AC充電器)の出力は3kW~6kWが一般的です。しかしPower2Driveで展示されていたAC充電器は主に11kW~22kWからが標準でした。一般家庭でも11kWと高出力充電器を導入するのが主流で、一日の走行距離の違いや採用電圧の違い(EUは230V日本は100V)もあり、日本で現在主流な3kWのような出力の低い充電器を導入する企業はいないのが海外マーケットの動向です。
    日本では、これまでAC充電器は6kWが規格で認められる上限値でしたが、今年に入って10kWまで出力が引き上げされましたので、今後対応した充電器や車両が出てきて、普通充電が高出力化してくるものと思われます。

  • 3. 充放電器の普及とV1GサービスからV2Gサービスへ拡大
    これまで日本以外では放電できる車両が少なかったことから、欧米ではV2H(※ビークルトゥーホーム)やV2G(※ビークルトゥグリッド)などのコンセプトのサービスはあまりありませんでした。しかし、今回は多くの企業でV2Gサービスを展開していました。まだ、実証的な取り組みも多いですが、今後ますます拡大していくと思われます。

    ※V2Hとは、EVの蓄電池に蓄えた電力を家に給電するシステム

    V2Gとは、EVの蓄電池に蓄えた電力を電力系統(グリッド)に給電する仕組み

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    4. AC充電器のプラグ&チャージは来年以降

    日本では、充電器を使用してEVを充電する場合、電力は専用のアプリを通じて課金されるのが一般的です。しかしプラグ&チャージは、EVを充電口に差し込めば(プラグ)、それだけで認証の手間なく課金(チャージ)できる仕組みです。プラグ&チャージはユーザーの利便性にもつながるため、日本でも実装に向けての検討が行われています。今回Power2Drive出展の充電器メーカーでもDC充電器では既に実装されているところは多かったです。

    また、AC充電器での検討も進んでおり、規格の整備がされれば、AC充電器でもプラグ&チャージの対応が進むことが想定されます。


  • 5. 日本への進出はまだ先が多数

    各企業で聞き取りを行ってみたところ、日本への進出をほとんどの企業が考えていませんでした。その理由は、日本の市場は非常に小さいことや認証が複雑で困難なためです。

    日本ではJARI認証(充電器の安全性・品質管理・互換性を確保するための認証)を取得する必要がありますが、その取得には1年以上かかります。それに対して、ヨーロッパでは3〜4ヶ月ほどで認証を取ることができます。今後、日本市場に多くの充電器メーカーが参入してユーザーの選択肢を増やしていくためには、認証方法や期間の見直しなどが望まれます。


  • 6. 高いデザイン性
    日本の充電器は機能性が重視される傾向が強く、充電器のカラーもまだまだ白もしくは黒のみといった状況です。しかし、展示会ではカラフルな充電器が多く、日本では考えられないような豊富なカラーバリエーションで、ユーザーに幅広い選択肢を提供していました。やはり充電器が普及している市場のため、一般家庭でも充電器を取り入れている人が多いこともあり、エンドユーザーを意識したラインナップが多いように感じました。またカラーだけではなくデザイン性を追求したものも多く、取り付けるだけでオシャレにスマートなEV体験が叶うなど、使う側のEVエクスペリエンス向上を意識したものが目を引きました。
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  • 5. 出展企業紹介
    以下では、注目の充電器メーカーをご紹介します。
     

  • 1. go-e(オーストリア)
  • 2015年に創業し、AC充電器メーカーとしてヨーロッパ約20か国で事業展開しています。世界初持ち運び式充電器を開発し、外出先でもコンセントにつなぐことで充電が可能なgo-eの充電器「go-e Charger Gemini Flex」を提供しています。電力料金との連動や充電負荷分散、go-eコントローラーと組み合わせることでPVの余剰充電にも活用可能です。

     


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  • 2. Wallbox (スペイン)

    世界117か国に100万台以上の充電器を提供してきた世界でも有数のスマート充電器メーカーです。世界初CCS対応の充放電器を提供し、Wallboxの電力メーターと組み合わせることによりV2H、V2Gなどのソリューションを提供しています。

    当社のシステムとも連携済みで、さらにパワーアップしたスマート充電器として利用可能です。

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  • 3. KEBA(オーストリア)
    1968年オーストリアに設立された産業機器メーカーです。2015年より充電器を提供開始しています。これまで50万機以上の充電ステーションを提供し、充電インフラの分野におけるヨーロッパのパイオニアです。充電器の製造過程、輸送、廃棄で環境に影響を与えないカーボンニュートラルな充電器(グリーンエディション)など環境に配慮した商品も提供しています。

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  • 4. SCAPO(ドイツ)
    2019年よりEV向け充電ソリューションを提供しています。
    SCAPO CHARGE CONTROLのオープンシステムにより充電負荷の分散ならびにPVシステム、蓄電池、などと統合して、充電にどの電気を使用するかを制御することができます。クラウドサービスに接続することで、充電ポイントの制御、請求などが可能です。

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    6. 日本における充電器の展望

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    • 充電器メーカーが増え、機能やデザインがより充実する
    • EVが増えるとエネルギーマネジメントの重要性が増す
    • V2HやV2Gのサービスは世界で広がりつつあり、先行している日本のチャンス
    • 充電器の高出力化やプラグ&チャージで充電スタイルが変化

     

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  • 展示会を見て強く実感したのは、市場が拡大すると、これほどまでに多様な事業者や製品が出てくるのだということ。EVの普及が拡大するに連れて、EV充電周りで大きな産業が生まれています。

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    充電器メーカーの数がまだまだ日本では少ないですが、今後EVが普及すれば、それに伴って充電器メーカーも増え、デザイン性の高い充電器の登場など各社ラインナップが豊富になり、ヨーロッパ市場で見られるようにユーザーの選択肢が広がると考えられます。

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    また、EVの普及が加速するにつれ、エネルギーマネジメントの重要性はますます高まります。展示会で見たようにヨーロッパでは、充電器にデフォルトでエネルギーマネジメント機能が搭載されているのが当たり前ですが、将来的には日本でも充電制御機能ができる充電器が一般的になると考えられます。

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    EVの数が増えれば、同時に充電した場合に系統や建物へ大きな負荷がかかりますが、充電制御するエネルギーマネジメントがあれば充電負荷を分散することができます(ピーク制御)。そのためEVの数が増大すればするほど、必然的に充電タイミングを調整するエネルギーマネジメントが求められます。また、エネルギーマネジメントが搭載されていれば、発電量が変動する太陽光などの再生可能エネルギーをEVに蓄えられている電力で調整し、効率的に有効活用できます。脱炭素社会を目指すという環境面とも、EVのエネルギーマネジメントは一致します。したがって、今後はEV普及に伴って、EV充電器にエネルギーマネジメントが標準になるのは必至です。

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    V2HやV2Gのサービスについては、欧米をはじめ世界でも広がりを見せているのを感じました。早い段階から放電できる車両があった日本はV2HやV2Gで先行しているので、この分野で日本は世界をリードできるチャンスがあります。

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    充電器の高出力化やプラグ&チャージなどは過渡期ですが、今後、実装が実現すれば、それに合わせて充電スタイルも様変わりするでしょう。

  • こうした未来のEV充電体験が当たり前になる世界を想定した制度の整備やサービスの提供が非常に重要です。

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  • 7. これからのスマートグリッド時代にも対応できるREXEVのスマート充電器
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    1.REXEVのスマート充電器で未来をチャージ

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  • エネルギーマネジメント機能は、今後EVが普及するにつれて重要性が増します。REXEVでは、あらゆる充電器と連携できるエネルギーマネジメントの機能を提供しています。

    スマート充電器では、今回展示会でご紹介したようなエネルギーマネジメントの機能はもちろんのこと、日本の系統電力の調整力として活用したり、車両管理サービスと連動したり、電力市場と連動して安い時間で充電したりと、さまざまなエネルギーマネジメント機能を備えています。

    企業の事業環境によって求めるEVシフトの形、充電器に求める機能もそれぞれかと思います。これからEVが急速に普及しはじめ、スマートグリッド時代が到来しても十分に対応できる充電器にご興味がおありでしたら、ぜひ一度REXEVにご相談ください。

    エネルギーマネジメント機能を拡張できる進化するスマート充電器で、REXEVは今後も脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

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  • 2.EVに関する協業や新事業のご相談はREXEVまで

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  • REXEVでは、スマート充電器をはじめ、EV導入支援コンサルティングやEVカーシェアリング導入支援など、その他EVに関連する協業や新規の事業開発などのご相談も行っております。

    「EVを導入したいけど、何から始めればいいのか」、「EV導入後の電気代が上昇しないか不安」、「新たにEVに関する新規事業を立ち上げたい」など、EVに関するちょっとした疑問や不安などでもご気軽にご相談ください。

    これまでエネルギーマネジメントで培ってきたノウハウとネットワークを活用して、企業のニーズに合わせたEV導入・EV運用のビジネスモデルをご提案し、革新的なソリューションをご提供しています。

     

  • REXEVの進化するスマート充電器

    https://rexev.co.jp/smart-chager/

     

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  • 現地視察した盛次CPO

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  • 8. おまけ
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    道端の充電器

    ミュンヘンでは、一般道の路駐スペースにも区画ごとにEV充電器が設置されており、EVの普及率の高さ・利便性の高さが一目でわかります。充電器のサインも可愛らしいピクトグラムが印象的です。

     

     

    ドイツはビール!

      物価高だけどドイツビールを堪能

     

     

    サッカー魂

    Euro2024でサッカー観戦、ヨーロッパ人のサッカー熱の高さに感動

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